キリスト教・カトリック家庭祭壇
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運営責任者の手記
漆塗り家庭祭壇との出会い、商品についての思いをお伝えして参ります。
漆は驚くほど強い

高校生の時、うなぎ屋さんでアルバイトをしていました。
漆塗りの器を洗う時、洗剤は使わず、柔らかいスポンジで洗うだけと指導されていました。
漆塗りって繊細で扱いにくいなぁというのがそのときの印象でした。

でも実は漆という塗料は、非常に優れていると知ったのです。
松田 権六 著書 うるしの話 (岩波文庫) に書かれていた印象深いエピソードがあります。(我が漆塗り十字架の松田氏とは偶然名字が同じというだけで関係はありません。)

日本の石器時代の矢尻を見てみると、割った竹に硬石の矢尻をはさみ、 藤蔓などの皮で縛ったところに漆を滲み込ませたらしいのです。
発掘された時には漆の光沢も残っており、漆の滲み込んだ部分は腐らずに残っていたそうです。

また、著者松田氏が楽浪漆器修理の仕事にもたずさわっていた時期がありますが、色漆を印肉代わりに使った捺印の痕がたくさん見出されました。
油を原料とした油絵や印肉では、泥水に浸せば必ず腐って長持ちしない。5年も持てば良い方だそうです。

楽浪漆器は2,000年もの間、泥水中にありながら、光沢すら変わらない。塗料の中でこのような実績は漆しかありません。

また、著者松田氏は船内塗装の経験もお持ちなのです。
インド洋の熱風と潮風への耐性が他の塗料に比べて非常に優れている事を認識してもらうためででした。就航から戻って来た船の漆塗りの扉部分は特に変化は無かったのですが、他の扉に塗られていたニスやペンキが就航前と変わらず新しい感じがしたそうで「穴に入りたい」気持ちになったそうですが、実は横浜を出航してロンドンにつくまでにニスやペンキ塗りのあちこちが剥げて無様になったので、ロンドン停泊中に塗り替え、さらに横浜に来るまでにもう一度塗り替えなければならなかったそうです。

他の塗料が2度塗り替えるところ、漆塗りの扉は1度も修繕する事無く帰航できたというエピソードは相当インパクトがありました。

漆とは繊細で弱いという私のこれまでのイメージが180度変わったのです。




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